「その女、ジルバ」で副業を考える

副業ガイドライン

土曜夜の話題(?)のドラマ「その女、ジルバ」ですが、ドラマの感想ではなく社労士らしく「この副業ってどうなの?」という視点で考えてみようと思います。

早速ですが、主人公の新さんは、昼は会社に勤務して、夜はバーでホステスのバイトという副業をしています。

厚労省の副業ガイドラインによると、

「副業・兼業に関する裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であり、各企業においてそれを制限することが許されるのは、 例えば、

①労務提供上の支障がある場合

②業務上の秘密が漏洩する場合

③競業により自社の利益 が害される場合

④自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合

に該当する場合と解されている。」

となっています。

また、厚生労働省のモデル就業規則でも最近は

「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」

となっています。

裁判の事例

では、このガイドラインの考え方に沿って新さんの副業を考えてみましょう。

①の労務提供上の支障があるかということですが、新さんがバイトをすることで、本業である物流センターの仕事が疎かになっていないかどうか、ということです。

参考になる判例として、1982年の裁判で、就業時間後、午後6時から午前0時までキャバレーで会計係などの仕事をしていた従業員の解雇が認められたケースがあります。

この裁判を簡単にまとめると、

ⅰ就業時間外は、労働者の自由な時間です。

ⅱでも、次の労働日に誠実な労働をするために、その自由な時間を疲労回復のための休養にあてるのは当然だよね。

ⅲ今回の件は、毎日の副業の勤務時間が6時間(しかも深夜まで)というのは、翌日の労働に支障があると思われても当然だよ。

ということで解雇が認められました。

この判例から考えると、あまり深夜まで働いていると労務提供上の支障があるとしてアウトになる可能性があります。

特に最近は、しっかり休息時間を確保することが求められる方向なので、この辺は注意したほうが良いでしょう。

新の副業は大丈夫?

さて、新さんの場合はアルバイトの時間はどれくらいでしょうか。

バイト後に弟と会う約束をしていたシーンから考えると、それほど遅くまでは働いていないでしょう。

いくら相手が弟でも22時くらいには会おうとしたいたのではないかと考えます。

そうすると、勤務時間は会社終了後18時台~21時台(遅くても22時頃?)ではないかと推測します。ということは、バイトの日は3時間前後くらいではないでしょうか?

しかも、毎日バイトに入っているわけではなさそうなので「労務提供上の支障がある」ほどの長時間では無いと思われます。

その他の要件である②業務上の秘密が漏洩する場合、③競業により自社の利益 が害される場合、④自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合については、②③については大丈夫でしょう。

④については微妙なところではあると思いますが、心情的には問題ないことにしたい(笑)。

ただ、(専門外なので定かではありませんが)お客さんとダンスしたりするのは風営法の対象の店舗だったような気がするので、もしかしたら微妙なところかもしれません。

ということで、新の副業自体は(多分)大丈夫でしょう。ちょっと贔屓目入っていますが。

副業を会社に報告した方がいいの?

では、会社に無断で副業していることについてはどうでしょうか?

新の場合は、最初は無断でしたが、今は上司も許可しているかどうかは置いといて、知っているわけですから、セーフな気がします。これも大丈夫であって欲しいという個人的な願望込みです。

実際、争うことになれば会社としては認めざるを得ないケースが多いと思いますが、通常はそこまで争おうとはしないと思われます。

ちょっとしたアルバイトだと会社に無断で働いてしまいそうな気がしますが、無断でバイトしていたことが発覚した場合、正直、会社側としては良い気分ではないでしょうから、ほんのりと不利益な対応をされるかもしれません。

ということで、もし、どうしても副業をしなければならない状況になった場合、就業規則で許可制になっていてもいなくても、労働時間のことやその他諸々の関係で、報告して許可を貰っておいた方が良いです。

報告の仕方については、副業をしなければならない必要性や副業をすることで本業にもこんなメリットがある、といった会社が認めやすい理由を良く考えて報告しましょう。

この会社はどうすれば良かったの?

希望退職を募るなど経営状態が苦しそうな(勝手な想像です)この会社は、どうすれば会社も社員も不幸にならないのでしょうか?

いろんなやり方はあると思うのですが、もし会社に体力的な余裕があるのであれば、新のような成功事例があるので、むしろ副業を奨励して、希望者には週休3日制や週休4日制も取り入れながら人件費を抑制するのも一つの方法ではないかと思います。

しかし、副業どうこうとか関係なく、このドラマのBAR OLD JACK & ROSEの皆さんのようにかっこよく元気に歳を重ねたいものです。