同一労働同一賃金の話

「同一労働同一賃金」という言葉を3月末から4月頭にかけて各種メディアで目にした方も多いのではないでしょうか。


昨年のブログ(同一労働同一賃金の判決を受けて同一労働同一賃金の対策について)でも少し触れましたが、社労士としてはこの旬なタイミングで触れておかないと、ということでざっくり説明します。
多少、語弊があっても細かいところは省略させていただきますのでご了承ください。

最近よく聞く「同一労働同一賃金」って何?

2021年4月から中小企業でも「パートタイム・有期雇用労働法」が施行されました。
巷でいわれている同一労働同一賃金というのは、この法律の8条や9条の話です。
簡単に言うと「パートや有期雇用の労働者から搾取しちゃダメ」っていう内容だと個人的には理解しています。
搾取っていうと言い過ぎかもしれませんが「正社員に比べて不当に安い賃金で働かせちゃダメ」ってことです。

例えば、次のような仕事があるとします。

仕事内容:石垣の石を積む 1日の労働時間:8時間

正社員Aさんの待遇
 日給:16,000円(1時間あたり2,000円)
 手当:1日に50個積んだら5,000円

パート社員Bさんの待遇
 時給:1,500円(8時間で12,000円)
 手当:無し

というような仕事があった場合、同じ仕事にも関わらず、給与が1時間あたり500円の差があるし手当はAさんにしかありません。

基本的には、こういう同じ仕事内容の場合は同じ待遇にしましょうね、ということです。

ただ、国も「なんでもかんでも同じ待遇にしろ!」といっているわけではありません。
ちゃんと考えてくれています。多分。

なんと!ちゃんとした理由があれば待遇に差があっても大丈夫!ということになっています。
(当たり前といえば当たり前ですが...)

例えば、Aさんがどんな石でも綺麗に詰める「石の魔術師!」「石マエストロ!」みたいな凄い人で、Bさんはごく普通の平均レベル、というように能力に違いがある場合はその違いに応じた差をつけても大丈夫です。ただし、その差は具体的に説明できるようにしておく必要があります。

ほかにも、Aさんは石を積むだけではなくて、石を積みやすいように加工したり、石を調達する部署との調整をしたりという仕事もして、Bさんは言われた通りに石を積むだけの仕事であれば、同じ仕事では無いので給与に差がついていてもおかしくない、ということになります(程度の問題はありますが)。

今回の法律では、ちゃんと待遇の差を説明するというのも大切です。

また、手当については、この例では「50個積んだこと」に対する手当なのでAさんに出すなら、Bさんにも出さないとダメです。

ざっくり言うとこんな感じです。

なんとなくイメージを掴んでいただけたでしょうか?「じゃあこの場合は?」「こういう手当はどうなん?」という場合や、もっとちゃんと知っておきたい場合は、国が出している資料をご確認ください。

パートタイム労働者、有期雇用労働者の雇用管理の改善のために

パート・有期労働ポータルサイト

どう対応すればいいの?

では対応としては、どうすれば良いのか。
同じ待遇にするということは、Bさんの待遇をAさんの基準に引き上げるだけ。

とっても簡単、シンプルです。ただ、それだと「会社として人件費がしんどいよ~、勘弁してよ~」となる場合もあるでしょう。

そこで、AとBの間を取るとかAをBの基準に引き下げるといった方法も、ダメではないですが...まぁ、お勧めはしません。実行しようとしても、正社員からは反対されるでしょうし、会社に対する不信感も募るでしょう。そもそも不利益変更になるので難易度はかなり高いです。

そこで、今回の法律への対応としては、

給与制度や評価制度を見直す良い機会として捉え、まずは制度の総点検をする。可能であれば、時代に即した給与制度や評価制度にリニューアルしたり微調整したりして、働く社員のモチベーションアップを目指す、という方向で検討して頂くのが良いと思います。

おまけ

なお、この法律は正社員とパート・有期雇用契約社員との待遇の差についての法律ですが、もともと労働契約法20条で無期雇用(正社員)と有期雇用で不合理な労働条件を禁止した法律があって、それを引き継いだ内容となっています。

なので、考え方自体は新しい内容ではなく元々ダメですよって話です。
ちなみに正社員同士の待遇差についてはこの法律とは関係ありません。

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