内定取り消しについて

目次

内定ってどういう状態?
裁判ではどうなっているの?
内々定の場合は?
内定取り消しをどう伝えるか?

昨今のコロナ禍で、人を増やそうと思って採用したのに入社予定日までに状況が激変し「内定を取り消さざるを得ない」といった状況も起こっているかもしれません。

そこで、今回は内定取り消しについて書きます。

といっても、現実にこういう場面に遭遇したことは無いので、セミナー等で聞いた話も参考にしながらまとめてみました。

ただし、最初に断っておきますが「トリケシ、ダメ、ゼッタイ(ベビメタ風)」「トリケシ、カッコ悪い(前園さん風)」です。

内定ってどういう状態?

内定と言うと、中途採用よりは新卒採用のイメージがあるのではないかと思います。「今年の大学生の内定率が○○%で~」といった言葉を耳にしたことありますよね。

この内定というのは、解約権を留保した労働契約が成立しているということになっています。

難しい言葉が出てきましたが、忘れて大丈夫です。

ザックリ言うと、新卒の場合「卒業できなかった」か新卒や中途に関わらず「何か問題を起こした」といったような場合に、労働契約を無かったことにしますよ、ということです。

逆に言うと、こういう場合じゃないと取り消せませんよ、ということです。

ただし、そもそもというか、基本的に普通の状況であれば、内定を取り消すというのは無しだと思っていてください。

裁判ではどうなっているの?

内定取り消しといえばD社事件!!という有名な裁判について少し紹介します。

昔々、1969年3月に大学卒業予定のAさんに、D社が内定を1968年7月に出し、1969年2月に取り消しました(取り消した際は理由を示していません)。

そこでAさんがD社を訴えた結果、最終的には「客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認することができるものに限られる」理由じゃないと内定は取り消しちゃダメです、という結果になりました。要は、内定を取り消す場合も、一般的な労働者を解雇するときと同様に高いハードルがありますよ、ということです。

実際の最高裁の判例はこちらです。

ちなみに、D社が内定を取り消した理由ですが「Aさんはグルーミー(陰気・暗い)な印象なので当初から不適格と思われたが、それを打ち消す材料が出るかも知れないので採用内定としておいたところ、そのような材料が出なかつた。」とのことです。

今の感覚で考えると、大きな会社がなぜこんな理由で内定を取り消せると思ったのか不思議ですが、当時(1969年頃)はこのような感覚が当たり前だったのかもしれません。

内々定の場合は?

これは契約前という扱いで取り消せるようです。(参考:コーセーアールイー事件)

しかし、この裁判でも慰謝料は発生していますし、決してお勧めできるものではありません。

そもそも書面で内定を出していなくても、状況によっては「これは実質的に内定だ」と裁判所に判断される可能性もあるので、内定と同じように考えて対応したほうが間違いは無いかと思います。

内定取り消しをどう伝えるか?

そうは言っても、内定を取り消さざるをえない状況になった場合はどうすれば良いか。

まず一つ目は早急に伝える事

内定者が次の就職先を探す時間が少しでも多く確保できるように一日でも早く伝えることが大切です。

そして二つ目は、直接会って話す事

郵送でとかではなく、直接会って、誠心誠意納得して頂けるよう事情を説明することが大切です。

そして三つ目は、誠意を示す事

その日に普通解雇する場合は解雇予告手当(平均賃金の30日分)というものが発生します。なので、最低でもそれ以上の額、出来る限りの金銭的な補償は行った方が良いと思われます。また、それに加えて会社として次の就職先を探すにあたって協力できることがあれば提案する、など出来る限りの誠意を示す事が大切であると思います。

しかし、このようにしても円満に解決出来る保証は一切ありません。

内定を取り消さざるを得ない会社としては「本当にそれどころじゃないんです。自分達もギリギリの状態なんです」という気持ちも当然あるでしょう。

そのようなお気持ちはごもっともだと思うのですが、内定者の精神的なショックや人生への影響を考慮して出来る限り真摯に対応したほうが良いでしょう。本当に大変だとは思うのですが、今の時代はSNSですぐに情報が拡散されてしまうので、第三者から見て「そこまでしなくても」と思われるくらい誠心誠意、全力で対応するという考えで臨んだほうが長い目で見ると得策だと考えます。

再度、最後にお伝えしますが、内定取り消しは間違いなくしない方が良いことです。今回書いたように内定の取り消しはかなり大変なので、なんとか内定を取り消さずに大変な状況を乗り越えられる方法を考えていただきたいと思いますし、社労士としてそういうサポートにも取り組んでいきたいと考えています。